シャフト連載記事 vol.5『シャフトの内径加工』
シャフト
こんにちは。都筑製作所の菊地と申します。 今回で5回目の配信となります。今後も引き続き連載をさせて頂きたいと思いますので宜しくお願い致します。
都筑製作所は自動車足回り部品の製造を得意とする加工メーカーです。
昨今の自動車EV化の流れに合わせ、当社においてもローターシャフトについてのお問い合わせが大変多くなっています。
この記事では「シャフト」をテーマに定期的に加工技術情報についてご案内いたします。
連載5回目の今回は『中空シャフト内径に施せる加工技術』をご紹介します。皆様の課題解決のお役に立ちましたら幸いです。
ラジアルフォージングによる内径加工
ワーク内に接触するマンドレルの形状と転写する特殊工法
当社が提案する中空シャフトの新加工技術「ラジアルフォージング」
筒状のシャフトや筒状のチューブ内部に様々な加工が可能です。
ラジアルフォージング特有である ワーク内に接触するマンドレルの形状と転写する特殊工法の活用で内径加工が可能となります。
こんなお悩みをお持ちの企業様はぜひご相談ください
- ローターシャフトを軽量化したい
- シャフトにマグネットを内蔵したい(MIRS:Magnet Integrated Rotor Shaft)
- 2ピースを1ピースにしたい
- シャフトの試作を依頼したい
ラジアルフォージングによるシャフト内径「形状転写」の実例
下記の実例をご紹介いたします
- スプライン加工・セレーション加工
- 内径油溝・油溜まり加工
- キー溝
- 螺旋(らせん)・スパイラル溝加工
01. スプライン形状のシャフト内径転写
スプライン加工とは
- シャフトにギアやプーリー等の回転部品を固定するための溝を加工する方法
転写方法
- マンドレルに形成したスプライン形状を鍛造によって内径へ転写する
ラジアルフォージングでシャフト内径に形状転写するメリット
- 切削加工に比べて、シャフト内径の加工時間を短縮
- シャフト端面から深い位置でも形状成形が可能
- 切削スプライン加工で必要なカッターの逃げが不要
- スプライン形状は角型、インボリュート型、三角歯等を成形可能
02. シャフト内径油溝・油溜まり加工
内径油溝・油溜まりとは
- 筒状内径部に潤滑油等を留めるための油の通路
転写方法
- マンドレルで溝を1次成形後、埋設部を2次成形する
ラジアルフォージングでシャフト内径に形状を転写するメリット
- 通常加工では専用カッターでの長時間加工となり量産が困難な形状を、短時間で加工が可能
- シャフト端面から深い位置でも形状成形が可能
03. シャフト内径のキー溝加工(形状転写)
キー溝とは
- 軸からの動力を歯車などへ効率良く伝えるため、両者の間にキーを差し込むための溝
転写方法
- マンドレルに成形した凸型のキー溝形状を、筒の内径部へ凹溝として成形転写する
ラジアルフォージングでシャフト内径に形状を転写するメリット
通常方式だと量産性に乏しい
- 内径の底が詰まっているものは、通常はスロッター加工機や放電加工機で加工。加工に時間がかかり、量産性に乏しい
形状転写により量産性を獲得
- ラジアルフォージングの形状転写ではその全てを解決可能
04. シャフト内径の螺旋(らせん)・スパイラル溝加工
螺旋、スパイラル加工とは
- ラジアルフォージングでは主に筒状の内部に施す「螺旋形状」をした溝加工です
- 具体的には、「ねじ」「ライフリング」「マッドポンプステーター」等が該当します
転写方法
- マンドレルとワークを同期回転させながら、マンドレルスパイラル形状をワーク内径へ転写する
ラジアルフォージングでシャフト内径に形状を転写するメリット
通常方式だと製造に時間とコストがかかる
- 通常の螺旋加工は旋盤やブローチ盤を用いて形状成形を行いますが、加工時間・カッター作成時間・コストがかかる
加工時間・コストを通常加工より低減
- マンドレルに螺旋形状を制作できれば、加工時間・コストを通常加工より低減
05. シャフトの異形穴/角穴加工
異形穴/角穴加工とは
- シャフト、パイプ、チューブ等の内径に円形以外の形状で異形通し穴、通または途中止めの穴を成形
ラジアルフォージングでシャフト内径に形状を転写するメリット
- 一定の長さまでであれば、放電加工やワイヤカット等の加工方法に限られる
- ラジアルフォージングであれば自由な形状で長穴や非貫通穴を低コストで量産が可能
「ラジアルフォージングによるシャフト内径への形状転写加工」の応用
- 「ねじ加工」や「内径ギア加工」への適用も可能
- 従来の加工製法では作れない形状成形がラジアルフォージングの形状転写で可能に
- 設計自由度が大幅に拡張できる
試作から量産に至る様々なローターシャフトのご提案が可能です
都筑製作所では加工メーカーならではの視点で、試作から量産に至る様々なローターシャフトの提案ができます。
モーター開発においてのパートナーとしてご協力させていただきます。
ローターシャフトの加工及び必要部品の組付けも対応可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
次回の記事予定
「シャフト」をテーマに5回、加工技術情報についてご案内させて頂きました。皆様の課題解決のお役に立てて頂けたら幸いです。
次回より当社が航空宇宙関連の部品加工で培ってきた「難削材の加工」についてご案内いたします。
都筑製作所ではシャフトの試作にお応えします
「試作開発・難削材加工でお困りの方」「量産での製造コストを改善したい方」はぜひご相談ください
ダウンロード資料をご活用ください
軽量モーターシャフト量産についてもぜひご相談ください
下記の課題にお応えいたします。
- 軽量化を目的とした軸物(シャフト)中空化
- 削加工部位を減らしコストダウン
- 2部品構成を一体化して強度アップ
- 軸物(シャフト)中空化により、内部に付加機能を持たせる
都筑製作所は複雑形状、高精度加工も得意領域です。
中空軸塑性加工設備の導入に合わせ、軽量化などの技術開発にも取り組み、仕様提案でお客様のソリューションに貢献いたします。
軽量モーターシャフト量産について、次世代EV用ローターシャフト加工技術についてなど、ぜひお気軽にご相談ください。
資材調達など弊社への提案はこちら
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