シャフト連載記事 vol.1『機械加工メーカーから見た、次世代EV用ローターシャフトの加工技術提案』
シャフト
シャフト連載記事 vol.1
はじめまして。都筑製作所の菊地と申します。
都筑製作所は自動車足回り部品の製造を得意とする、加工メーカーです。
昨今の自動車EV化の流れに合わせ、当社においてもローターシャフトについてのお問い合わせが大変多くなっています。
ローターシャフトでお悩みの企業様はぜひお気軽にお問い合わせください。
ローターシャフトについてのこんなお悩みはぜひご相談ください
- ローターシャフトを軽量化したい
- シャフトにマグネットを内蔵したい(MIRS)
- 2ピースを1ピースにしたい
このページの目次
- 機械加工メーカーから見た、次世代EV用ローターシャフトの加工技術提案
- 様々なモーターに使われる都筑製作所のローターシャフト生産実績
- ローターシャフトの種類と特徴
- 超高回転モーターを実現するマグネット内蔵型シャフト『MIRS』の構造
- 都筑製作所でのローターシャフトの製作方法 (代表的な製作工程)
- ローターシャフトの製造会社をお探しの皆様へ
機械加工メーカーから見た、次世代EV用ローターシャフトの加工技術提案
昨今、co2排出量削減に向け、各自動車メーカーは脱エンジン化を推進しています。
今後、新たな動力源としてモーターの必要性が高まっていくことが予想されます。
当社は様々なモーターに使われるローターシャフトを試作から量産まで手掛けてきました。
エンジンは駆動力確保とシステムを動かすための動力を取り出せますが、エンジンが無くなる事で各種モーターが必要になります。
EVシステムで必要となる代表的なモーターは、走行用モーター、冷却液循環用モーター、空気圧縮用モーター等があります。
様々なモーターに使われる都筑製作所のローターシャフト生産実績
都筑製作所のローターシャフト生産実績
- EV車の発電ジェネレーター用ローターシャフト
- FCスタック吸排気用モーターローターシャフト
- 電動ターボ用モーターローターシャフト
- 工作機械用サーボモーターローターシャフト
ローターシャフトの種類と特徴
ローターシャフトは大きく「中実シャフト」、「中空シャフト」、「マグネット内蔵シャフト」に分類されます。
それぞれ特徴があり、使われるモーターによって形状が変わります。シャフトはその形状によって特徴も異なります。
ローターシャフトの種類と特徴 ①
中実シャフトの特徴
- 素材形状が活かせコストが抑えられる
- 高精度加工によりエアギャップを狭められる
- 慣性重量が大きいため振動軽減ができる
ローターシャフトの種類と特徴 ②
中空シャフトの特徴
- 中実シャフトに比べ圧倒的な軽量化が可能
- 軸が空洞化されているため、冷却液を流すことが可能
- 慣性力を抑えられるため、モーターの起動や停止が容易になる
- 削りだしではできない内径形状
- 電磁鋼板を含むシャフト全体の重量/コストを低減可能
- 比較的出力が低く、高トルクのモーターに向いている
- 軸が空洞化されているため、冷却液を流すことが可能
- 慣性力を抑えられるため、モーターの起動や停止が容易になる
ローターシャフトの種類と特徴 ③
マグネット内蔵型シャフト
- マグネットが内蔵されているためローターシャフト径が小さくモーター全体も小型軽量化可能
- 小型軽量に作れる為回転レスポンスに優れている
- 10万rpm以上の高回転モーターに対応できる
超高回転モーターを実現するマグネット内蔵型シャフト『MIRS』の構造
マグネット内蔵型シャフト『MIRS』
シャフト内部にマグネットを組み込み、回転子として機能させるシャフト。
当社ではMIRS(Magnet Integrated Rotor Shaft)と名付けました。
マグネット内蔵型シャフト『MIRS』の構造
MIRSはシャフト内にマグネットを組み込み保持させるための各種構造があります。
都筑製作所ではマグネットを固定するための各種シャフト構造が提案可能です。
『MIRS』のシャフト構造
- ドーナツ状マグネットはめ込みタイプ ... Fig1
- マグネット挟み込みタイプ ... Fig2
- シャフト内マグネット埋め込みタイプ
- マグネット一体成型タイプ 等
ドーナツ状マグネットはめ込みタイプ(Fig1) シャフト
マグネット挟み込みタイプ(Fig2) シャフト
MIRS(マグネット内蔵型シャフト)のサイズ
ご指定のサイズから製作が可能です。
- シャフト外径10mm~
- シャフト全長 ~600mm
MIRS(マグネット内蔵型シャフト)のマグネット
内蔵するマグネットはサマリウムコバルト、ネオジム等各種選定が可能です。
- 完成後にマグネットに対して着磁も可能です
MIRS(マグネット内蔵型シャフト)の回転バランス
超高回転型のモーターで使用する場合は回転バランス精度が必要となります。
- バランス量: 偏重心距離 0.5μm
- 専用のバランス修正機で全数検査可能
MIRS(マグネット内蔵型シャフト)の圧入
保護管にマグネットを圧入する際、発生する残留応力、内部圧縮応力を事前にシミュレーション。
最適化した圧入条件および組立方法を選定します。
MIRS(マグネット内蔵型シャフト)の軸受部
超高回転軸を支える方法として空気軸受が利用されます。
- シャフトの静圧空気軸受(エアベアリング)には、高硬度表面処理が必要となります
- 都筑製作所では溶射等によってニッケル系の表面処理を施すことが可能です
都筑製作所でのローターシャフトの製作方法 (代表的な製作工程)
加工
- シャフト:旋盤、外径研削
- マグネット:端面研削、外径研削
- 保護管など:旋盤、内径研削
表面処理
- ニッケル系の高硬度表面処理
組立
- マグネット圧入
- マグネット接着
- 焼き嵌め
仕上加工
- 旋削
- 研削
- ラップ
- 回転バランスの測定と修正
着磁
- マグネット素材を磁化します
ローターシャフトの製造会社をお探しの皆様へ
当社はローターシャフトメーカとして各種形状のシャフトが製作可能です。
加工メーカーならではの視点で、試作から量産に至る様々な場面でローターシャフトの提案ができます。
モーター開発においてのパートナーとしてご協力させていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。
次回の記事予定
次回は『MIRSの造りの提案』です。Vol2では加工メーカーならではの視点で提案させて頂きたいと思います。
以降は中実シャフト、中空シャフトの提案について記事をアップしていきます。ご期待ください。
試作開発・難削材加工でお困りの方/量産での製造コストを改善したい方
シャフトの試作についてぜひご相談ください。
ダウンロード資料をご活用ください
軽量モーターシャフト量産についてもぜひご相談ください
下記の課題にお応えいたします。
- 軽量化を目的とした軸物(シャフト)中空化
- 削加工部位を減らしコストダウン
- 2部品構成を一体化して強度アップ
- 軸物(シャフト)中空化により、内部に付加機能を持たせる
都筑製作所は複雑形状、高精度加工も得意領域です。
中空軸塑性加工設備の導入に合わせ、軽量化などの技術開発にも取り組み、仕様提案でお客様のソリューションに貢献いたします。軽量モーターシャフト量産について、次世代EV用ローターシャフト加工技術についてなど、ぜひお気軽にご相談ください。
シャフト・軸物の製造加工ソリューション